僕の存在意義

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「だが、自国にも仲間なんていなかった。戦争に参加しなければ仲間ではないと言われた。人を殺すなんてことしたくなかった。戦争をすれば、多くの人が犠牲になるとわかってやるなんて…喧嘩なら上の偉い奴らだけでやってくれよ…」 最初は力強く言っていたそいつも段々と力がなくなっていった。この人もここの奴らに大切なものを奪われたのだという驚きと、自分の母親もここの人に殺されたのだ、殺された奴らの国に逃げ込んで妹を殺された。自分の選択を間違えたとさらに後悔した。 「そうやってずっとやっていても良いが、仕事なんてものは力仕事だけじゃない。実験にも俺たちが使われるそうだ。働けなくなったもの働かないものはそっちに回される。気をつけろよ」 そう言ったっきり、そいつはもう2度と僕に声をかけることはなかった。僕はやはり食べる気にも働く気にもなれずにその日の夜違う場所へ運ばれた。 運ばれるその廊下で、たまたま話しかけてきた男が仕事をしているのを見かけた。 「おい!こっち全然掘れてねぇーだろうが!」 僕に話した時みたいな力は感じられず、体を小さくさせて掘れるわけない道具で石の地盤のようなところを掘らされていた。 殴る、蹴る、鞭打ち、毎日こんなことをしていたんだなと横目で見ていた。 「おいおいなんだ?なんかやらかしたのか?」 「あいつの荒っぽさはここ一番だからな、大事にならなきゃ良いいが」 僕を運んでる人2人が少しそこを立ち止まった。ぼーっとそこを見ていた。柵で隔たれてるこっちとあっち。感情をなくしている僕にでもやばい状況なことは分かった。 「なんだ!そんな反抗的な目は!!こうしてやる!」 「ギャァァァァァ」 そこで働いていた全員が悲鳴をあげた。 手に持ったスコップで思いっきり殴った。持ち方、打ち所が悪かったのだろう…スパンッと首から上が転がった。 「あーあ、やっちまったなー」 僕を運んでる2人はいつものことのようにその場を去ろうとした。今見た光景が信じられなくて、こんなひどいことなのにいつものことみたいな片付けているこいつらも意味わからなくて…。 叫んで、喚いて泣いた。
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