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「紅音ちゃん」 微笑み、紅音に手を振るのは陽平。 陽平と恋仲になってから紅音は登下校は陽平と共に過ごしていた。 恵とも仲直りして、充実した日々を過ごす。 「もうテストの時期だね。紅音ちゃん、勉強してる?」 「う…してるにはしてるんですが、上手く頭に入らなくて」 「教えてあげよっか?」 「いいんですか!?」 「俺で良ければ」 「お願いします!」 嬉しそうに紅音は陽平にお願いをし、週末、陽平の家で勉強会をすることになった。 当日、お土産を買って待ち合わせ場所に行くと、陽平と何故か湖夏が騒いでいる。 「まーた、被害者作るつもり!?」 「はぁ?お前に言われたくないね」 普段と違う表情の陽平に紅音はゾワッと鳥肌が立ち、足を止めてしまう。 湖夏から視線を逸らして紅音に気付いた陽平は紅音に普段見せる笑みで手を振る。 そして湖夏も紅音に気付くと立ち去ろうと紅音の横を通った。 「陽平に気をつけて」 小さな声で言われ、聞き返そうと振り向くも湖夏は走り去ってしまっていた。 首を振り、気にしないように陽平に向き直すと笑顔で陽平に近付く。 「すみません、お待たせしちゃって」 「ううん、全然待ってないよ。さ、行こう」 「はい!」 待ち合わせの場所から10分程で陽平の家に辿り着く。 「お邪魔します」 「あぁ、今誰もいないから気にしなくていいよ」 「え?」 「急に用事入ったとかで出掛けていったんだ」 初めは陽平の家族もいて紅音は会えるのを楽しみしていただけに、驚き少し凹んでしまった。 陽平の部屋は一軒家の二階に位置し、男子学生らしい部屋になっている。
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