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最初の1時間は勉強していたはずだった。
それが今、紅音は陽平に押し倒されている。
「先輩ってキスより先に手が出ちゃうんですね」
「嫌?」
「ううん」
紅音は、陽平のある噂を聞いていた。
真面目そうに見えて女に手が早い。
しかし、それを聞いていたからこそ、下着にまで気を使って、この日を迎えていたりする。
陽平が初めての男性…というわけでもないのだが、抱かれてみた結果は微妙なもの。
相性が良いとまでは言えない。
その後、陽平の家族が帰ってきて挨拶をし、帰るべく陽平の家を出ると丁度、湖夏もどこかに行こうとしてるのか真向かいの家から出てきた。
「え?あ…」
紅音に気付き、慌てて中に入ろうとする湖夏に紅音が引き留める。
「コンビニでも行くの?」
「はい。ちょっと買い物に」
「じゃあ、途中まで一緒に行こうか。
ということで先輩、また」
微笑み陽平に手を振り、湖夏のところに行くと紅音はワザとらしく湖夏の手をとり歩き出した。
「ごめん」
「紅音先輩?」
急に謝った紅音に湖夏は首を傾げる。
「言うこと聞いておけば良かったと思って。先輩ってSだったんだね。まさかここまでとは思わなかった」
そう言うと行く時にはしていなかったはずのスカーフをずらす。
そこには、うっすらとだが、大きな手形がついていた。
「え!?」
「え?知っていたから忠告してくれたんじゃないの?」
「ここまでなんて知らなかった…」
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