勿忘草

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作り物の思い出を有り難がっていた 海に一人 今は一人 背後に君がいるような気がして 振り向くと風が吹いた 小さな頃からずっと同じ景色を見て 二人でここまで来た そんな風に振る舞うのは辛かったけど 失う方が恐かった 未来から目を逸らし 過去に執着し 届かない筈なのに 届いたような気になっていた 消えた僕を君は憶えていない 僕の中の大切なモノも薄れてきて 君との過去が無くなっていく この愛は何処に行くのだろう 作り物の人間は消えなければいけない 未来に一人 今は一人 磯の香りが心地良かったのは 君と居たからなんだね あの時代で日を重ねて知った恋は 僕の心を暖めて ふわりと空も飛べるような気がして 目を閉じれば音がした 君の過去を変え 君の未来を変え それでも幸せなら 悪くはないと言い聞かせてた 愛した君を僕は忘れてしまう 二人で歩んだ道が途切れ途切れになり 君のための過去が造られる 二つの初恋が海に沈む どうかこのままで 僕も一緒に 波に逆らい歩いていると 「ずっと好きだからね」 君の声が胸に響き 海に一輪の花が咲いた
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