10人が本棚に入れています
本棚に追加
私は未(いま)だに呼ぶことができない
あなた以外の人を「 」と、
そして
これからも呼ぶことはない、その名を、
愛し合うことの限りを知ったのは
まだまだ私が幼い日だった
知らん振りしても分かっていた
ひとつふたつ
罪悪感がのし掛かるようで
慕ってきた背に別れを告げた罪
襲い狂う不幸はそのせいだと
分かっていても守りたい人がいる
ひとつふたつ
欲しがるものを奪ってかれるような
もう一度愛し合うことになったのは
あなたではない違う人なのに
どうして認めながら生きてくの
ひとつふたつ
歳を重ねて分かる本当の情け
私は未(いま)だに呼ぶことができない
あなた以外の人を「 」と、
そして
これからも呼んだことを忘れない「 」を、
おとうさん。
私のたったひとりの、
父
最初のコメントを投稿しよう!