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時は移って、それは昼過ぎ。
件の一行は青ざめた青年を囲み、疲れ果てていた。
「ああ……疲れた……」
剣士が漏らすと、呪術使いが自嘲するように笑う。
「ある意味、魔王倒すより疲れる」
僧侶は疲労の色を見せながらも、二人を慰めた。
「まぁ、勇者様の容態も落ち着かれたことですし、ここの方々も許して下さいましたし……ねっ?」
彼女の言葉に二人は顔を見合せ、尚もテーブルに顔面を伏したままの青年を見下ろした。
彼は仲間の会話など耳に入らない様子で、テーブルと頭の隙間から、呪いのように黒い言葉を小さく垂れ流していた。
「……ぁぁぁぁ……」
としか、聞こえないが、低く小さく己の不幸を数えあげている。
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