お腹いたい

5/6
前へ
/25ページ
次へ
道を歩けば犬に噛まれ、建物の側を歩けば天から鈍器が降ってくる。 強面の人にはほぼほぼ、絡まれ、ステキ女子には距離を置かれる。 唯一、じいちゃんばあちゃんにはウケがよく、可愛がられたが、もらえるおやつはいつも老人好みの渋いヤツだった。 彼はそんな青年だった。 彼がひょんなことから天啓を授かり、じいちゃん王様に大層気に入られつつ、魔王退治の勇者として旅をすることになった。 心強い仲間も紹介されて、良い気持ちで出発したものの、老人ウケ以外には不運の申し子とも言える彼が、当初のテンションを保っていられたのはたったの30分だった。 魔物からの絡まれ方も尋常ではないという事実もついてきた。 それまで何の敵意もなかったそれらは、彼を見や否や、殺気マックスで襲ってくるのである。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加