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小さく漏れ出していた呪いの言葉は、気がつけば干からびた笑いに変わっていた。
腹のなかはすでに空っぽ、食欲はなく、予備力さえなくなった勇者の顔色は灰色だ。
これでは勇者というより、魔王の手先である。
「僕なんて……何をやってもダメなんだ……なんで僕が勇者なんかに……」
いつしかテーブルの上には、涙溜まりが出来上がっていた。
少しやつれて、いつもより多少窪んだ眼窩から、ボロリボロリと流れるそれは、多分いつもよりしょっぱいだろう。
「まぁまぁ、勇者様。お気になさらずに」
僧侶が丸まった背中を撫でると、剣士は頭をポンポンと慰めるように叩いた。
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