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「おー、やっぱ、ここは誰もいねぇな」  連れられてきたのは御堂の裏手にある庭園。  小さな池があって、水辺の一角に池に張り出すように正方形の露台がかかっている。 「さーて、食うか。涼も座れよ」  パッと腰から手が離れて、ドカッと露台に竜が座った。  食べ物の袋を横に並べて、浴衣の襟元をくつろげ始めている。  ……だよねー。ここで心置きなく食べまくるつもりなんだよねー、きっと。  仕方ない。私もつき合うか。  こんな食欲魔人を好きになったのは、私だ。  竜はお隣さんで幼なじみ。そして、弟の敦の同級生。  小さな頃からふたりの面倒を見てきた私は、ずっと竜が好きだった。  けど竜にとっては恋愛対象じゃないと、諦めてもいた。  それが、去年のこの夏祭りで竜から告白されて、本当に嬉しかった。  〝涼ねぇちゃん〟じゃない私を『好きだ』って言ってくれた竜のこと、私も本当に大好きなの。
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