1章 僕の平和な青春は、こうして遠ざかってゆく

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「全然嬉しくないし、自信持っちゃいけないパターンだよね!?むしろ男として自信無くしちゃうランキング第1位の内容だよね!?」 「ちぇっ、つまんないなぁ~」 姉ちゃんは拗ねたように唇を尖らせて、ブツブツと独り言を言っているが無視して、着替えるために 姉ちゃんを部屋から追い出そうとした。だが、さすがと言って良いのかどうかは分からないが、 動こうとしない。先ほどの拗ねた表情はどこへ捨ててきたのか、エサを前にして『待て』の命令を下された犬のような、または獲物を前にしてジッと狙うトラのような、そんな複雑怪奇な表情をしている。 これは危ない・・・・・・。ここで着替えを始めた瞬間にこちらへ襲い掛かってきそうである。僕は起きたばかりの脳内で、様々な解決策を導き出そうと必死で考えたが、残念なことに僕の脳は何も導き出してくれなかった。なんとむなしいことやら・・・・・・。  するとリビングから先ほどにも増して更に急いた女神・・・もとい母の声に助けられた。 「恵留!!早く支度なさい!!今日は入学式なんだから!!留美もいつまでも恵留にへばりついてないで、早く学校に行く支度をしなさい!!」 助かった。なかなか支度が終わらない僕に対して、痺れを切らした母がすごい剣幕で1階から 叫んでいる。 「いま着替えていくよ~」 僕は母に最大の感謝を心の中でしつつ着替えの準備をする。 姉ちゃんはというと、ふてくされながら、自分の部屋へと戻っていった。
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