1.好きという気持ち

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 5月になった。始業式を終えて一ヶ月、クラスにも馴染んだ今日この頃。 真っ青な空に浮かんだ雲は真っ白だし、太陽はキラキラ輝いてる。 瀬戸内海に面しているうちの学校からは太陽の光を反射した海が夜空の星よりも綺麗に瞬いてる。  あたしはこれからの季節が大好き。 だって、これから暑い夏がやってくるから。 「私は日に焼けるから嫌いだけどね」 「……」 「だからランニングは任せたわ」 「はーい」  もう結構な暑さなのに長袖に大きなつば付き帽子を被ってるのは同じマネージャーの穂村環奈。 中学からの友達で今でも友達してる。ドがつくほどのストレートな黒髪に切れ長な瞳、それだけで環奈は美人の部類に入るだろう。 そんな環奈が野球部のマネージャーをやる、と言った時には親友のあたしも驚いた。 「そういえばもう一年経つのかぁ」  環奈がマネージャーになってくれてから。  二年生が居なくてあたしの上には三年生の先輩ふたりしか居なかった。 面倒な仕事は全部あたしで、先輩達は部室でお茶したりお菓子食べたり。多分これはイジメだと思ってたけど仕方ないとあたしは諦めていた。 だって、あたしが一年生なのには変わりないし、誰かがやらないといけないんだから。
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