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スマホを読み続けるあたしに優ちゃんは「少し歩こう」と手を引っ張る。
だけどあたしはそのメールから目を離すことが出来なかった。
『病院で目が覚めて、医者に名前は? と聞かれて俺は迷うことなく佐久優馬と答えてしまった。
医者も俺の両親も俺の頭を疑ったよ。
それは仕方ないと思う。
俺だって信じられなかったんだから。
だけどあまりにもリアルな夢で、しかも俺はハナたちの通う高校の名前までリアルにあることを知っていた。
だから、俺は退院してすぐにここにやってきた。
迷子になんてなりようがない。
懐かしい高校、野球部のユニフォーム、佐久優馬も居て彼に笑いかけるハナの声。
夢じゃないってすぐにわかった。
だけど少しだけ悩んだんだ。
だって俺が仮に生まれ変わりだったとしても、今の俺はハナなんて知らない。
これから何が起きたって俺には関係ないことじゃないかってさ。
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