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「……誰? 誰なの?」
このメールに名前がないけど、あたしは彼を知ってる。
よく知ってるはずなのに、なんで名前を思い出せないの?
「優ちゃんっ! 誰? 教えてよ!」
「……ハナ、ごめん」
ぽたぽた落ちる涙がスマホの画面を濡らしていく。
居たはずなんだ、あたしの近くに、ずっと一緒に居たのにどうしてその名前も顔も思い出せないの?
「ハナ、俺にも同じメアドからメールが来たよ」
そういって優ちゃんはそっとあたしに自分のスマホを見せてくれた。
「俺もあの雨の日からずっと変な違和感があった。何かが足りない、どこかこの世界は間違えてるような気がする。
すごく大切なものを忘れてしまったような喪失感がどうしても拭えなかった。
だけど、このメールで分かったよ」
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