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「伊崎もしてないじゃん」
「会社への行き帰りに歩いてるよ」
「それなら私もだよ。片道20分、往復40分」
「距離変わらねーのに遅ぇな。俺は片道15分、往復30分」
「張り合うなよ、年下の女の子と」
「どこに女の子がいるんだよ」
「ここだよ、ここ」
フハッと笑い合うと、短くなった煙草を持っていた伊崎が「アチッ」と声を上げた。
私は、「ざまーみろ」と笑いながら悪態をつく。
「涙腺ぶっ壊れ病の調子は?」
煙草をもみ消し、携帯灰皿をポケットに戻した伊崎が、この後風呂にでも入るのだろうか、ノーネクタイのシャツのボタンをひとつ外し、背中を手すりに預けて聞いてきた。
「大丈夫だよ、昨日だけ。その節はどうも」
「どういたしまして」
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