【606号室 片桐 稜(かたぎり りょう)】

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昨夜の居酒屋での号泣を思い出す。 酔いも手伝って、自分の部屋に帰りたくないと駄々をこねたのは正真正銘私だ。   そうじゃなくても、以前から精神的に何か大きなことがあったときは、涙が止まらなくなることがあった。 大丈夫だと笑っていても体は正直で、頭で認める前に堰が切れるのだ。 厄介な体質だ。 「しかし、久しぶりだったな。失恋なんて慣れてたはずなのに」 「不憫だなぁ、お前」 「憐れむなよ」   学生時代に好きになった女の子に告白した時に言われた「女同士なのに気持ち悪い」、ハタチ前後に男の子に告白した時に言われた「お前のこと男としてしか見れない」。 4年前に付き合った男には「並んで歩くのは勘弁」と言われ、その後次こそはと思った女からは「そんなつもりじゃなかった」と、興味本位の遊びでした発言。
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