【606号室 片桐 稜(かたぎり りょう)】

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性格上、好きだと思ったら男女構わず突っ走ってきたけれど、そのたびに泣いてボロボロになるのを繰り返すうちに、自覚した。 私は恋愛に不向きだと。 好きになっても打ち明けるべきではないのだと。 「美形がもったいねーな。恋愛対象が同性異性両方だからって、恋愛が二倍楽しいってわけじゃねーのか」 「逆だよ、もう諦めてる」 「ハハ。結婚しないの? 稜は」 「親はうるさいけどね。今のとこ想像すらできない。てか、お前もだろ? 伊崎」   伊崎は下唇を突き出しながら短髪の前髪に息を吹きかけ、 「そーだな。互いに恋愛感情ゼロで、セックスのオプション付きの大親友なら考えてもいいけど」 と心底気だるそうにぼやく。
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