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柿本くんと別れたんだ。伊崎のことが好きだから。
シンプルにそう告げたら、間違いなく逃げるこの男を前に、それでも、と精いっぱいの冗談口調で、
「ねぇ、もしさ、私が伊崎のこと本気で好きになったら、受け入れてくれる?」
と聞いてみる。
本気だと取られたくないから、わざと目を見て、営業職で培った作り笑顔で。
伊崎は、座る私を見下ろしながら、目にうっすらと冷酷さを浮かべながら答えた。
「無理だよ。ちょっとでも特別な感情持たれたら、会うのもやめる」
度重なる忠告や牽制はブレない。
念押しするようにそう言った伊崎に、私は準備していた笑い声を披露し、
「アハハ、こえーよ。ありえないし、そんなこと。なんたって、私は柿本くんとめちゃくちゃ順調なんだから」
とソファーに勢いよくのけぞった。
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