【606号室 片桐 稜(かたぎり りょう)】

164/166
25665人が本棚に入れています
本棚に追加
/688ページ
「あ? これ、俺の家にあったのと一緒じゃん」   それは、平橋さんにこの前もらったアロマキャンドルだった。 以前使用したものと形も匂いもまったく同じそれを見て、伊崎はケースから中身を取り出し、 「なに? 自社商品気に入っちゃって、くすねてきたのか?」 とこちらに見せる。 「人聞き悪いな。偶然もらったんだよ」 「へぇ」 つまむように持ち上げて見ていた伊崎は、さして興味のない様子でまた棚に戻そうとした。 「つけてよ、伊崎」 「あ? これ?」 「うん。ライター持ってるでしょ?」 「あぁ」
/688ページ

最初のコメントを投稿しよう!