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「あぁ、もう、見ちゃったら洗うしかないじゃないか」
自分が最後だし、仕方ない。
あのおじさん、朝一で熱い茶を欲しがるし。
そう思って給湯室へ向かおうとしたとき。
「あれ? 片桐さん、残業ですか?」
ドアが開いて、柿本くんが入ってきた。
手にはノートを一冊持っているだけで、どこかに外出していた感じはしない。
「あー、うん。もう帰るとこ。柿本くんは? 忘れ物でもした?」
「いえ、社長に呼ばれていろいろと話をした後、資料室にこもってたら、うっかりこんな時間になっちゃって」
「そっか、お父さんに……」
「えっ?」
「あ」
しまった。
私は彼のことを社長の息子だとは知らないていだった。
心の中で「あちゃー」と思いながら、眉間に手を当てる。
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