25669人が本棚に入れています
本棚に追加
/688ページ
驚いた顔を見せた柿本くんは、
「知ってたんですね、片桐さん」
と複雑そうな声を出した。
「まぁ」
「もしかして、みんなも知ってて……。あぁ、そうか、だからなんとなくみんなよそよそしかったんだ」
なにやら合点がいったらしく、ぶつぶつと独り言を言っている柿本くん。
というか、まず、社長と同じ柿本姓で隠し通せると思っていたのだろうか。
私はバレてしまったものはしょうがないと開き直り、自分の頭を掻きながら、
「遅かれ早かれ、ってやつだよ。いいじゃん、柿本くん、鼻にかけることもないし謙虚でやる気もあるから、みんなから高評価だよ。接し方に戸惑ってる人もいるだろうけど、柿本くんのこと嫌いな人はまずいないと思うし」
と励ます。
「ほ……本当ですか?」
「だって、資料室にこもってたのも、社長に取引先とか顧客データを頭に入れろ、とかなんとか言われて、頑張ってたからじゃないの? もしかしてだけど」
最初のコメントを投稿しよう!