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「あ、置いといてください。僕も今からなにか飲んで帰りますんで、一緒に洗っておきます」
「いやいや、そんな」
「社長の息子にさせられないとか言わないでくださいね。こんな話の後で」
「違うよ、私、曲がりなりにも女子社員ですから」
「男とか女とか関係なくないですか? 僕、さっき男のくせに泣きましたよ?」
瞬きをしながら柿本くんを見ると、「ね?」と首を傾けて微笑み、私の手から湯呑みを取った。
ほぼ同身長なのだろう、170センチくらいの可愛いジェントルマンが、「それじゃ、気をつけて帰ってくださいね。お疲れ様です」と頭を下げてから、給湯室へと向かう。
残業の疲れが吹っ飛んだ私は、久しぶりに頬を染めながら、「……おつかれ」と言った。
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