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「なに? これ」
「関数の本、応用編。多分これ見たら、今やったのはできる」
「教えてくれないの?」
手渡された本を受け取った私は、その表紙を凝視した後で、伊崎の顔へ視線を戻す。
「自分で調べてやってみろ。じゃねーと、頭に残らねーだろ? 身につかねぇよ」
「ケチ」
「実践あるのみ。勉強するいい機会だと思えよ」
そういえばそうだった。
私も椎野ちゃんに対して、まったく同じことを思ったんだった。
思い返しつつも、酔っぱらってるからか、ふくれっ面で伊崎に頭突きする。
私は腰を下ろしていたけれど、伊崎はしゃがんだだけの姿勢だったから、不意を食らって後ろにのけぞり、手をついた。
そのことで、床に置かれていたシーリングライトのリモコンを手で踏む伊崎。
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