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「いってぇ。あぶね、壊すとこだったじゃねーか」
ボタンが押されてしまったようで、室内の照明が消えた。
いや、パソコンのディスプレイがついたままだから、青白い光が私たちの輪郭に影を作っている。
玄関からこぼれる灯りは、ドアの隙間から細い線で差し込んでいるだけだ。
「俺の部下には本すら貸さねーよ? ちょっと年数積んだからって甘えんなよ、26歳」
伊崎が鼻を鳴らして口角を上げる。
「だから、来月27だ」
「はいはい。あーあー、そんなに目を据わらせちゃって」
のけぞって尻もちをついている伊崎に、頭突きした勢いで前のめりに手をついている私。
向き合って見つめ合っている体勢に、私は、そういえば、と少し前の情事を思い出した。
「ねぇ、あれ以来ぱったりだけど、しないの?」
「なにを?」
「隣室のよしみ的なこと」
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