【601号室 平橋 小夏(ひらはし こなつ)】

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「今年に入ってすぐに別れたんですけど、私のことを探し回っているみたいで、怖くて、頼れる人が誰もいなくて、それで……」   それで、あの冬の日、善さんを頼ってきたということか。 そして、守られながら一緒に住んで、今に至るとか?  そこまで甘やかされ慣れることができるなんて、ある意味うらやましい。 弱音を吐くことが武器になっていて……しかもそれを無意識にやってのけて標準装備しているなんて、私には到底無理だわ。 「実家には頼れなかったんですか?」 「はい。両親に言われていた道をどうしても歩きたくなくて、自分の夢のほうを選んだ結果、ほぼ勘当状態で。あ、高校生の弟とはたまに連絡を取り合ってはいるんですけど」   このご時世で道が決められていたなんて、お嬢様なのだろうか。
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