【601号室 平橋 小夏(ひらはし こなつ)】

153/336
25666人が本棚に入れています
本棚に追加
/688ページ
私をどうしても犯罪者にしたいのならすればいい。 説明するのも面倒だし、この人たちとの関わりを深くするつもりもない。 「このくらいで足りるかしら? 片桐さん、私、先に出ますね」 「えっ! じゃあ、私も」 「せっかくだから合流したらいいんじゃないですか? 友人関係、大事にするんでしょ?」   そう言って、一万円札をテーブルに置く。 いっそのこと、片桐さんはお酒の勢いも借りて彼にぶちまければいい。 今までどおり友人関係のままなんて、彼女に無理なのは目に見えている。 「平橋さん、今度俺とふたりで飲まない? 興味あるから、いろいろ聞かせてよ」   腕を握る伊崎さんに、 「私はあなたに微塵も興味がないので失礼します。伊崎さん、自分を慕ってくれるご友人を大切になさってくださいね」 と、その手を引き剥がし、店を後にする。
/688ページ

最初のコメントを投稿しよう!