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クレーム処理が回ってくるのも、研修を一任されるのも、社長お気に入りだと勘違いされているのも、全部そのせいだ。
けれども、今回は違った。
社長室に入り、向かい合わせで座るや否や、
「平橋。お前の電話応対に立腹した客から、私のほうへクレームが入った」
と言ってきた。
厚い眼鏡の奥で、黒々とした目が光っている。
「……社長のほうへ?」
「あぁ」
聞くと、先日届いた商品に不備があって問い合わせたところ、最初に出たオペレーターと話していても埒があかず、その代わりに応対することになった私の謝罪も、おざなりで心がこもっていなかったらしい。
ちょうど今日の昼間に会社のイベントがあり、その会場に出席していた社長。
ひと言言いたいと来ていたその客から、直接クレームを受けたとのことだった。
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