【601号室 平橋 小夏(ひらはし こなつ)】

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「…………」 「社内の空気を清浄化するためにも……」 くどくどと、社長の説教は続く。 どんどんすり替わっていく話題、その中で重箱の隅をつつくような小言を織り交ぜ、自分のストレス解消のはけ口にしている。 私は身の潔白の説明を諦め、ただただそれを聞いた。 言われたとおりに働いてやっと認められたと思ったら、みんなの尻拭いばかりをさせられて、身に覚えのない責任を問われて咎められ、こうやって皮肉を言われる。 いつもその繰り返しだ。 なんて……。 ……バカバカしい。 「なんだ? 平橋」 「いえ」   きっと私は、仕事も恋愛も人付き合いも……向いていないんだろう。
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