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「え?」
何かを思いついたかのような善さんの声色に、私はまた彼の顔を覗きこもうとした。
けれど、抱きしめられたまま善さんの顎が私の頭にのってきたので、動きがロックされてしまう。
「一緒に住むことを検討してくれ。それなら郵便物の間違いがあっても問題ない」
「いえ……え? あ、あの……」
そこまで話を発展させるつもりはなかったので、心底うろたえる。
そんな私をよそに、善さんは淡々と話を続けていく。
「いっそ、籍を入れてもいいかもな」
「籍っ⁉」
「苗字が変わらないから楽だろう」
あまりにも自然に、なんてことないように言ってのける善さん。
私は驚いたり照れたりで忙しく、何も言えずに口をぱくぱくさせる。
すると、返事のない私を不思議に思ったのだろうか、善さんが「ん?」と頭上で顎をずらした。
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