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彼はとても真面目で謙虚で素直で、内緒にできていると信じているのもあるけれど、次期社長面などは決してしない。
いい子だ。いい子なのだけれど……。
「はい。……はい、もちろんです、そのように致しますので。また直接伺わせていただきますね。今後ともよろしくお願いいたします。では、失礼いたします」
「わっ、すみません、電話中だって気付かずに声をかけて」
ちょっとおとぼけさんなところがあったりなかったりする。
「柿本(かきもと)くん」
受話器を置いた私は、デスクの横に立って心底申し訳ない様子で謝るその顔を見る。
「……はい」
可愛い。
仔犬系で甘くて愛らしいマスクで、男版穂乃ちゃんみたいな……正直ドストライクな顔だ。
「大丈夫よ。でも、これからは気を付けてね」
微笑んでそう言うと、柿本くんは「はいっ」と大きな返事をした。
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