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「なんで?」
メシも、その後片付けも終わり、風呂に入るからと606号室に帰ったはずの稜が、また戻ってきた。
ラフな家着で、おまけに自分の枕まで抱えて玄関に突っ立っている。
寝る気満々だ。
「夜中に不審者が来たら、伊崎を助けられないだろ」
「冗談だよ、あれは。大丈夫だから」
「目覚まし時計を止める時に、寝ぼけて利き手を使ったら悪化する」
「左手使うよ。右手を使ったとしても、そのくらいじゃ悪化しねぇし」
「それに……」
「それに?」
「い……言っただろ、柿本くんのことを忘れられなくて不眠症だって。慰めるって言ったんだから、添い寝くらいさせろ。なにもしなくていいから」
「…………」
なんて無茶苦茶な言い分だ。
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