第九章

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「息を吐け」  グッと強く押し込まれた熱塊が、それまでとは比べようのない硬化な質量を持って、結月の内壁を押し広げる。  自身の意図とは反し後ろが固く閉じる度に、仁志は腰を引いて、擦るように進んできた。 「アッ、……ん、あっ!」  らしくない汗を浮かべる仁志も辛いだろうに、「止めるか?」と言われない事が何よりも嬉しくて、結月は少しでも早く全てを受けれられるようにと、喘ぎと共に必死に息を吐き出した。  内側がジンジンと痺れる。熱さに下肢の感覚が曖昧になっていく。  ふと、結月を抱きしめるように、仁志の身体が落ちてきた。汗ばむ背に腕を回しながら、結月は安堵に緩く口角を上げる。 「……はいった?」 「ああ……。大丈夫か?」  気遣う言葉を出すくせに、その声は耐えるようで、余裕の色は微塵もない。  結月の後ろが反応する。  途端に息を詰めた仁志に恨めしそうに見据えられ、結月はその額に流れる汗を拭いながら、愛おしさにクスリと笑んだ。 「……このままじゃ足んないから、いっぱい突いて」 「っ、知らないぞ」
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