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水音と混ざった淫猥な誘いに煽られ「やぁ……」と緩く首を振ると、仁志は片手をサイドボードに伸ばして小さな引き出しを開けた。
コトリと響いた音に、結月はボンヤリと霞む瞳で仁志の手の行方を追う。
取り出された小さな容器の蓋が開けられ、傾けた先から仁志の掌にトロリと流れだした透明な液体の正体を悟って、結月は驚愕に持ち主を凝視した。
「……いつの間に」
気が付かなかった。
三ヶ月だのどうのと言いながら、しっかり用意してたんじゃないか。
「……俺だって、考えなかった訳じゃない。何があるか、わからないしな。……今みたいに」
「っ」
情欲に艶めく瞳を細められ、結月はプイと顔を背けた。
欲しいと思っていたのは自分だけではないと喜んでいいのか、結局堪え切れずに強請ってしまった自身に羞恥を覚えればいいのか。結月の胸中は、どっちもだ。
クスクスと愉しげに空気を揺らす笑みが止むと、先程よりも滑りを帯びた指先が進む先に充てがわれ、結月は小さく息を詰めた。
「……入れるぞ」
「……うん」
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