第九章

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「……どの程度が一般的なのか調べたら、基本は三ヶ月だと書いてあった」 (……それって、つまり) 「……えっちするまでの期間のコト?」 「……お前は最初から、『身体が目的じゃないか』と言っていただろう。そうではないと示す為には、どれくらい待てばいいのかと……」 「……調べた結果が、三ヶ月」 「……そうだ」  知られたくない事を知られてしまったと、仁志は結月と目を合わせようとしない。  その仕草に心をくすぐられ、結月は堪え切れずに小さく吹き出した。 「っ、なにそれ、いい歳して、経験もあるクセにっ。どんな顔で調べてたの」 「…………お前が疑うからだろう」 「ごめんて、そーゆーつもりじゃ、なかったんだけど」  笑いが止まらない。それは馬鹿にしたそれではなく、こそばゆさと嬉しさが勝るものだ。  涙は綺麗にひっこんでいた。結月はクスクスと笑いながら、「ねぇ」と甘えた声で仁志を見つめる。 「ギュッてして」 「…………」  押さえつけられていた腕と肩から重みが退き、変わりに全身を覆うように、仁志の身体が落とされる。  近づいた首元に腕を回して結月からも引き寄せると、仁志は不満を吐き出すように薄く息をついた。
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