第九章

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「……人が必死で耐えていれば、なんなんだお前は」 「しょうがないじゃん。おれ、エスパーじゃないもん。……だからさ」  結月は頬に軽く口づけ、強請るように腰を押し付けた。 「おま」 「いいじゃん、してよ。……あんたがおれにメロメロなのは、よくわかってるから。それに」  仁志の頬を包んで、結月は額を合わせる。 「……欲しくてたまんない。そんなにおれを抱くのは、イヤ?」 「……ったく、わかってて言ってるんだろ」 「とーぜん」  得意気に笑んで見せた結月に仁志はチュッと口付け、今度は躊躇いもなく結月の服へと手をかけ脱がし始める。  本音から言えば、少しだけ怖かった。  いくら気にしないと言われていても、やはり、抱かせるのは『使い』過ぎた身体なのだという事実に、未だ罪悪感は拭えない。  それでもそれを口にしてしまえば仁志を困らせるだけだと、結月は意識的に言葉を飲み込んだ。  奪ってくれるというのだ。素直に、感じたい。
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