第九章

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 結月の服を全て取り払った仁志は腕を交差させ、自身の纏う上着の裾を持ち上げて一気に脱ぎ去った。  昼間に見た逞しい身体が、惜しげも無く結月の眼前に晒される。つい、反射に目を逸らすと、仁志は口元だけで笑った。 「そんなんで、大丈夫なのか?」 「だ、いじょうぶだし!」  下着まで全て取り払った仁志が、結月に覆いかぶさってくる。仕切り直しだと重ねられた唇は、先程よりも、ひんやりとしていた。だがそれも束の間。直ぐに熱を帯び始め、結月も口内から与えられる柔い快感に集中し始めた。  それはほんの偶々だった。おそらく仁志は、角度を変えようとしたのだろう。ツンと主張していた結月の胸元に仁志の肌が掠め、ピリリと走った感覚に結月は声を漏らした。 「っう……」  気づいた仁志が手を這わせる。初めは結月の反応を伺うように緩く触れ、確かな快感を拾っていると見ると、探るような手つきで尖りを慰め初めた。  甘さだけを与えようとする慎重な指先に愛撫され、結月はか細く喘ぎを漏らす。だがもっと強い快感を知る身体は、そのもどかしい手つきでは徐々に物足りなくなり、結月は衝動に仁志の頭を掻き抱いた。
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