君が好き

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 礼子が朝顔に水をやっている横で、美也子は赤ん坊をおぶって、礼子に話しかけていた。 「お父さん、ホント庭いじりが好きだね」 「うん、ちゃんと毎日手入れしてるよ。最近、ヒマワリの種を植えてた」 美也子は背中でグズグズと言い出した赤ん坊をあやしながら、庭の花を見ていた。 「お姉ちゃん、ね、戻ってきなよ。お父さんたち、心配してるよ。中田さん、全然家に帰ってこないんでしょ?」 「何でお父さんがそれ、知ってるの?」 「私が言ったから」 美也子はムッとした。 「何で言うの?」 「だって、私だって心配なんだもん!」 「でも、この子が生まれたし…きっと帰ってくるようになると思うのよ。お父さんになったんだから…」 礼子は何も言わなかった。ただ、無垢な赤ん坊をじっと見つめていた。
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