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しかしあきれられたって私は本当に神なのだから仕方がありません。
それでもそんなに無理やり自分が神だと理解してもらわなくたって困りません。私はそろそろ帰ろうと思いました。
けれども安藤未華子が何かを言い始めました。
「・・・神だか何だか知らないけどさ。そういう風に上から目線で何か言われるの嫌いなんです」
「上から目線で言ってますか?私」
「自覚なしにやってる上から目線はもっと嫌い。おこがましいと思わないの。宗教法人にしたって神様にしたって」
「おこがましい」
安藤未華子はやはり私を神とは思わず、宗教法人ひまわりの古澤ミカコに対して話しているようでした。
しかし彼女は神に対しても批判を向けていました。
そして私は宗教法人ひまわりの古澤ミカコとして批判を受けたことがあっても神として批判を受けたことはありません。私は宗派に関係なくすべての者の神であり、神を全否定するものと会ったことはあって全批判する者にはあったことがなかったのです。
ショックでした。
「そうよ、おこがましい。大体神様だってやるからにはもっと世界の戦争とかいろいろやめさせてほしい。神様の存在意義って何?別にいてもいなくても関係なくない」
「神は・・・世界がよりよく進むための仕事をしています。しかしその仕事は確かに存在意義がないものかもしれません。宇宙が壊されても神は生きていけるのですから」
私は溜息をつきました。
「わかりました。こんな仕事、もうやめてやります。人類滅亡が完了したら私は神ではいられなくあるでしょう」
安藤未華子は少し不思議そうに私を見つめました。
「あの、やめるって宗教法人をですか」
「人類滅亡が終わったら私は宗教法人ひまわりの古澤ミカコをやめるでしょう。そして神もまたやめるのです」
「そんな話信じるわけじゃないんですけど、それやめたらどうするんですか。その、古澤さんは」
「猫」
「は?」
私は猫になりました。三毛猫のオス。とても珍しいといわれます。実は私にとってこの姿が一番居心地がいいのです。
「・・・ウソ。まじ?」
胆をつぶした安藤未華子にナアと言って、私はその場を去りました。
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