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「はぁー……ふふ、飲み過ぎちゃったかなぁ。ちょっとフラフラする」
等間隔に並ぶ街路灯に照らされた道に、二人分の足音がやけに響いて聞こえた。
「まーあんだけ飲めばな」
学生時代、並びながら辿った帰路を思い出させるこの時間。
「東堂君は全然酔ってないね。結構強い?」
それも駅についてしまえば終わってしまう。
「さァな。少なくともお前よりは強ェんじゃねーの」
引き留める理由が思いつかないまま、きっともう、終わってしまう。
「……楽しかったのに、もう終わっちゃうね」
俺ばっかり焦ってそんな事ばかり考えてる時に、お前がそんなことを言うから。
なんて、言い訳がましいけど。
「まるで普段楽しくねーみたいな言い方だな」
最後のあがきとして、何でもないような振りして、立ち止まった。
そんなことないよ、って。
ラブラブなんだぞ、とか。
そういった反応でも良かった。
そうであってくれた方が、いっそ思い切りがつくと思っていた。
「……っ」
けれど、覗き込んだそこには、何かを必死に堪える様に唇を噛みしめて俯く顔があった。
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