第8章

3/26
前へ
/26ページ
次へ
貴恵が座るのは中央のテーブル。 どこにいたってそうだ。 輪の中心。 自分が花形じゃなきゃ気が済まない。 典型的なお姫様気質。 「すごいわ!見せて見せて!」 「私が先よ。割り込まないで」 そんな見栄っ張りの 狙い通りだろう――。 テーブルを囲むように 黒山の人だかりができている。 「順番よ、順番にね」 弾んだ声で指図する 女王様はすこぶる機嫌がよかった。 乾杯のシャンパンを飲み干すと ちょこんと膝に置いたバッグから 取り出す――。 手の平に乗せれば 小鳥の卵ぐらいあるダイヤモンド。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加