第8章

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僕はコメディ女優宜しく キンバリーにむけてウインクに投げキッスを送る。 しらけた面してそれでも 欲に駆られて僕を舐めまわしたツケを払わなくちゃね。 「君、君――ちょっといいかな」 キンバリーは芝居がかった調子で 咳払いしながら。 「何かしら?」 人波を割り 女王様に近づいてゆく。 「警察だ」 「警察?」 作戦通り。 胸元の拳銃をチラリと見せつけ 「そ」 キンバリーは悪びれずのたまう。 「なかなか上手いじゃないか!」 一気に静まり返る船内で 僕は笑いを噛み殺し一人静かに手を打った。
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