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第8章
「足がフラフラするよ」
「何度もおねだりするからだ」
「だってあなたの舌って柔らかくてホント――」
中川に教えられたとおり
午後16時出航のクルーザー。
ブラックスワン号に僕らはギリギリで飛び乗った。
「足元気をつけろよ」
「優しいんだね――胸に拳銃を隠してるとは思えないぐらい」
「うるさい」
僕は即席の恋人に身を預け
からかうように耳元で囁く。
「そんなことより早いこと、お姉様を探せよ」
どっちを向いても
着飾ったお嬢さん方ばかり。
200人は収容する広い船内だ。
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