1 小道の再会

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そして、その話題を突き放すように言った。 「さあ、どうぞ」 「あ、うん」 この辺りは、さすがに別荘の多い地域らしく、 家々が隣接しているということはない。 隣家は互いの距離を厳めしく守り、まばらに茂る若木を間にひっそりと建つ。 そして、また我が家のように柵で囲っている家も珍しく、 どの家も、開け放たれた空間に気ままに点在するといった感じだ。 私は、物珍しそうに家を眺める彼に背を向けて、 小石を敷き詰めた狭い前庭から玄関に進むと、 ステンドグラスの入った白い扉に鍵を突っ込んだ。
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