No.1 おつきあいはじめて2週間経ちました。

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「ごめん、カナさん。 …………もっかい言って」 お茶碗とお箸を持ったまま、カナさんを見る。 当のカナさん、目がテレビにスライドしてる。 『そろそろ見納めですねえ』 『今週末がギリギリですね』 週末お出掛け情報かな。 ちらりとテレビを見ると。 丘一面のコスモスが、画面で揺れている。 すげ。どこだろ? カナさん行きたいの? 今日は二人とも揃ってお休み。 なので昨日からカナさんのお部屋にお泊まりの俺。 まだ頭がぼーっとしてて。 まあちょっと、頑張っちゃったから。 だって若いし、さ。 我に返ったカナさんが 「だから」 ピーッ! ぶったぎるようにケトルが鳴く。 静かに席を立つカナさんの背中をぼんやり眺める。 たぶんカナさんは気づいてないかも。 あの白い綺麗な背中に今、コスモスが満開。 明日仕事場で着替える時、大変だろうな。 一つはかなり際どい所に咲いてるから。 思わず、口元が緩む。 いやいや、そうじゃなくて。 「カナさんの副業、試食販売でしょ」 コポコポと急須にお湯が注がれる。 こっちを向かないカナさん。 「なのに料理が出来ないって、おかしくない?」
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