迷い

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「ちょっと、休憩しようか」 中田君がウサギにしつこく餌をあげる私の肩を優しくたたいた 「あ。うん!ごめんね・・・私一人で浮かれちゃって、疲れたでしょ?」 「いや、全然。俺は動物より佐藤見てるだけで楽しいよ」 意地悪く笑う中田君をジトッと睨む 「馬鹿にしてるでしょ?!」 「してないしてない!あ、あそこに可愛いカフェがあるよ。動物おやきもあるってさ」 私の睨みをサラっと受け流し、中田君は私をカフェに連れて行った 「凄い可愛い動物がいっぱいだね!!!楽しくて時間忘れちゃいそう」 まだ興奮冷めやらぬ私をニコニコ見守る中田君 「俺、デートってしたことなかったから・・・・今日、本当は凄い緊張しててさ。 でも、佐藤が凄い楽しそうで良かった。本当に安心した。ありがとな」 少し照れくさそうに笑う彼を 私はどんな顔で見ればいいのだろう きっと、私も先輩との練習が無ければ 緊張して、動物どころじゃなかったかもしれない 今、普通にこうしていられるのも・・・・・ 「そういえばさ・・・・・佐藤、好きな人となんかあった?」 ・・・・・・!!!!!!??? 「え・・?!え・・?い・・・いや・・・・」 な・・・・なんで?!なんで分かるの?! 「ぷっ!!分かりやすいな・・・。 なんか、元気なかったし・・・・今も無理して元気にしてる感じ。 時々、すげー寂しそうだし・・・。」 ・・・・・寂しそう・・・か・・・・。 たしかに、先輩を思い出さないように ずっと心にキツく鍵をかけていた 先輩との思い出の扉が開かないように 気持ちが溢れないように・・・・ それも全部中田君にはお見通しだったんだ・・・・ 「実は・・・ 実はね・・・・。 私、失恋しちゃった。」 眉を下げる私を中田君は少しも笑うことなく 真顔で見つめる 「ごめんね・・・。こんな事 中田君に言う事じゃないよ・・・・・・ね・・・?」 最後まで言う前に 中田君にテーブルの上に置いた手を握られた 「俺、その好きな人には程遠いかもしれないけど・・・ 佐藤の事 めちゃくちゃ大切にする自信ある。 そんな顔、させないから・・・・ だから・・・・俺と付き合わない?」 ・・・・・・ドクン・・・・・・・ 今までにないくらい 心臓が大きく一つ 脈打ったのが自分で分かる
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