二股

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_____ 車はスムーズに進み、15分くらいしたところで駐車場に停まった 「ここ、新しくオープンしたとこなんだけど・・・一回来てみたかったんだよね」 中田君がポツリと言った たしかに・・・・ 男同士で来るような店では無さそうだ 助手席を開けてくれようと車を降りてこちらに回ってくる前に 私は急いで自分の扉を開けた 彼に開けてもらうまで座って待ってるなんて 出来る程 私はイイ女ではない 「ははっ!!佐藤は本当に頑固だなぁ」 私が急いで降りてくるのを見て中田君が笑う 「だって・・・なんか恥ずかしくて・・・・」 照れくさいというのが一番の理由 女の子扱いにはやっぱり慣れていない 先輩みたいに雑に扱われる方がよっぽど気が楽・・・・・ ・・・・・って、やだ・・・ また先輩の事思い出してるし・・・・ 先輩を頭から追い出すように 手をバタバタ動かしてると 「ぶっ!!何してんの?」 「あ、いや、その・・・・虫?」 ごまかしきれているのか・・・・わからないまま私たちは店に入った 「素敵な店だね・・・・」 店内をグルッと見回して呟く アンティークの小物や椅子が並んだこのお店は雑貨やさんも併設されている 「かわいい・・・・」 ぶら下がったペンダントライトの一つに目が留まった 「佐藤、こういうの好きかと思って」 中田君・・・・そんなに私の事考えてくれたんだ・・・・ 私のために店を決めたり 車で女の子扱いしてくれたり 好みを考えてくれたり ・・・・こんなに嬉しいことって無いよね・・・・・ 「中田君、ありがとう」 そう言うと、照れくさそうに中田君は微笑んだ
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