二股

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「あ・・あの・・・中田君。今日はやっぱり帰らなくちゃ・・・」 ここから離れなくちゃ 全身から血の気が引いていく これは なんでだろう 悪いことはしてないはずなのに 繋いだ手をそっと離した 「今の人が言ってたことが・・・関係してる?」 ・・・・図星。 沈黙が その質問への答えとなった 駄目だ・・・。やっぱり、私の中には先輩がいる こんな中途半端な気持ちで一緒にいたら駄目な人だ こんないい人を 私は平気で傷つけることなんか出来ない 「あの・・・。ごめんなさい。 やっぱり、私・・・・中田君と・・・・」 ______付き合えません_____ そう言おうとしたところで 「コホン」 ・・・・・・・・?! 聞き覚えのある咳払いで、首の筋がおかしくなるくらい勢い良く振り返る 「よぉ。」 ・・・・・ちょっと息切れしてますけど・・・・? その声は 私の愛おしい 少し低くて 私の胸を締め付ける 森田先輩の声だった 「せん・・ぱい・・・」 きっと、私は何でも顔に出るのだろう 中田君は私と先輩を交互にみて 何かを察したようだった すっと、私の隣にきた中田君が 「佐藤、今日は帰ろうか。送っていくよ」 そう言って、私を車に誘導しようとしたところで 先輩が私たちの前に立ちはだかる 「もう帰るなら コイツ貸して」 ・・・・・・・?!先輩? 私は何も言えずにポカンとするしかない 「貸す、貸さないって・・・彼女はモノじゃないんですから。」 中田君が至極まともな事を言った 「じゃ、言い換える。」 ぶすっと先輩が呟くと 中田君に一歩近づいた 「・・・え。先輩・・・?」 何をするんだろう? 不安に思った私が2人に近づくと _______「優花は俺の女だ。手出すな」
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