二股

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ただ俯いて涙を流す私の頭をそっと 中田君が撫でる 「その涙・・・俺のために流してくれてるんだとしたら・・・・ それだけで 俺は幸せ者かもな」 ポツリと言った言葉の真意がイマイチ掴めないでいると 「今だけでも、俺が佐藤の心の中にいるから」 ・・・・・ 私は何もいえなかった 「ほら。そろそろ彼が来るんじゃない?」 ひとしきり泣いた頃 中田君が明るい声で言った 「・・・・え?」 驚いて顔を上げると もう一度 「来るんじゃない?」 中田君が優しく言った 知ってたの・・・・? 「彼に渡す前にもう少しだけ・・・佐藤といたいと思っちゃって・・・ 無理やり連れてきてごめん」 勢い良く私は首を横にふった 「ううん・・・こ・・こっちこそ、ごめんね」 謝るのが正しいのかなんて分からない でも、そうするしか無かった 中田君を見ると 思っていたより ずっと明るい 振り切った顔をしていた 「少しの間だけど、楽しかった。ありがとう。」 そう言うと またクシャっと笑う 中田君、本当にありがとう 最後まで 私が苦しまないように 私の事を考えてくれて、ありがとう
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