募る想い

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___ 「「かんぱーい」」 色んな事が吹っ切れたせいか ビールがすこぶる美味い 「いやぁ。2週間お疲れさん。 今日で約束の2週間、終わりだな」 俺の清清しい姿にザクロの顔が強張る 「なんだよ。もう俺に関わらないって約束したよな?」 若干、強気でいると 「わかってます。やっぱり、先輩は私には全然なびいてくれなかったですね・・・」 前の無茶な飲み方と違って 今日のザクロはチビチビとビールを口に運んでいた 思い返してみると この2週間、ザクロは毎日俺の仕事が終わるのを待っていて 家まで送り届けて終わり。 食事は数回したけど 試しに付き合うといっても、それは殆ど意味のないことのように感じた ちょっと 可哀想だけど・・・ でも、俺はどう頑張ってもザクロを好きにはなれない 「なんか・・・悪かったな。 でも、お前仕事だいぶ出来るようになったよ。それは認める。手伝ってくれた時 正直助かった。 ありがとな」 俺の言葉に一瞬嬉しそうに頬を緩めたけれど すぐに また真顔に戻る 「ほら。そんな顔してないで、今日はたくさん食べて・・・・でも、酒はあまり飲むなよ」 初日のことを思い出して 苦笑する 「はい・・・」 焼き鳥を小動物みたいにモグモグ食ってる・・・ こうやって大人しくしていたら少しは可愛いのにな 何故かこの女の事を最初よりは嫌いじゃなくなっている自分に少し驚きながら 俺はビールを煽った
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