地味な女

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*** カタカタカタカタカタ・・・・・・ カタカタ・・・カチカチっ カタカタカタ・・・ タンっ 「よし、終了。」 社内の視線が私に集まる 「部長、さっき頼まれた書類もう出来たので印刷してデスクに置いておきます」 すっと立ち上がり、部長のデスクに向かう 「はぁ?!さっきって・・・つい5分前くらいに言ったやつか? お前・・・ロボットか?!今日中って言ったのに・・・マジでお前・・すげえな・・。」 大学卒業後、ここに入社して事務歴7年 私は『入力の鬼』といわれている あ。 平均より出来てる事が私にもあった・・・ 『入力の仕事』・・・かな・・・ パサッ 部長のデスクに乗ったかなりの厚さの書類 「お・・・おう。確認しておくな」 若干引き気味の部長 社内で拍手が巻き起こる ・・・こんな特技・・・いらないけど、唯一 地味女の私がみんなに感謝してもらえること ペコっと頭を下げて 自分の席に戻る 「優花先輩、ここってこのやり方で合ってますか?」 隣の席の神田 桜(かんだ さくら) 23歳 入社一年 名前のとおり 桜のようなピンクの頬と唇 栗色でキレイに巻かれた髪の毛 いかにも男ウケしそうな彼女 可愛くて、女の私も見とれてしまう 「・・あぁ、ここ こうやってやったら もっと早く仕上がりますよ」 カチカチっ 「すごーい!!先輩、さすがです!!桜も先輩みたいになりたーい」 ・・・うそつけ・・ 彼氏いない歴29年だぞ、この野郎・・・!
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