独身女性の過去

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これまで、男性と付き合ったことは一度もない。 好きな、初恋の男性はいたのは、いた。 でも。 もう、思い出さないように、考えないようにしている。 けっして、男性が嫌いではない。 でも。 恋愛などは、もう、二度としない。と、心に決めた。 もう、あんな悲しい思いは二度としたくはないから。 この話はやめよう。 私は、ギアを1段上げ、少し加速させる。 爪先に力を入れ、ペダルを足の指で掴むように力強く踏む。 ロードバイクが力強く反応し加速する。 私は、前を向き、風を受けながら、駆け抜ける。 時折、桜の花びらがクリアー色のサングラスにひっつく。 構わず、ペダルを踏む。 速度は38キロぐらい。 ロードバイクの、車体が、路面が悪いのか、小刻みに震動する。 さすがに少し怖くなって、こぐのを抑える。 この辺りのアスファルトはあまり舗装がよくないのを思い出して、私はスピードを抑えることにした。 しばらくは、流しながら走る。 そして、信号に引っ掛かり、停止。 シートから、お尻を外し、ロードバイクに股がるようなかたちで、両足をつく。 ふぅー、とため息。 ああ、いやだ。 また、イヤな事を思いだそうとした。 いつも、いつも。 私は、いつも、後ろ向きだ。 母親に叱られた時の事。 いじめられたときの事。 器械体操での演技のミスでの事。 公務員試験の不合格の事。 会社でのミスの事。 いつも、マイナスの事を思い出してしまう。 その感情を、私は、会社の後輩たちにぶつけてしまう。 重箱のスミをつつくように、マイナスの部分、いたらない後輩の弱い部分を、私は注意してしまうのである。 その後輩の成長の為と自分に言い聞かせ、て。 でも、後輩たちは、私が腹いせに注意をしているのを感覚で分かっている。 いつも、私を避けてるのが、その答えだ。 いつのまにか、私は、避けられ、孤立している。 私も、仕方なく、距離をおいている。 そのせいだろうか。 会社では、親しい友人は、同僚の純奈ぐらいしかいなかった。 そして、耳にした私のアダ名。 風紀委員。 わかりきった、アダ名だった。 多分、そうだろうなぁ、と自分でも思った・・・。
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